令和2年9月2日から10月31日に募集を行った「令和2年度香川県空き家再生コンテスト」について、審査の結果、最優秀賞1点、優秀賞3点(順不同)が選出されました。
最優秀賞 (まもりん食堂)
空き家を再利用し配食サービスおよび古民家レストランへ
物件Data
設計者・施工者 | 藤岡建設 |
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所在地 | 高松市 |
敷地面積 | 230㎡ |
1階床面積 | 91㎡ |
2階床面積 | 不使用 |
工事費用 | 約140万円(高松市助成金含む) |
改修後の用途 | 配食サービスおよび古民家レストラン |
特徴
国分寺北部校区コミュニティ協議会が、地域の安全安心まちづくりを目的とし、配食サービス事業を行うため、所有者に交渉し賃貸借契約をすることとなり、リノベーション工事を行いました。
空き家をリノベーションした小さな拠点を軸に、配食サービスを開始し、見守り・安否確認を行いました。また、配食サービスに合わせ古民家レストランも開業しました。
配食サービスに携わる人材育成については、地域の未来を担う若者を発掘し、現在地域で活動している料理研究会(女性)とともに長期的に事業ができるよう努めています。配食サービスは、地産地消の観点から、地域で収穫された食物を食べることで経済効果を生み出し、地域活性化につなげる狙いがあります。
審査員コメント
地域に存在する空き家を、地域のコミュニティで、地域のために活用した好事例である。ボランティアとして若い人も参加した地域コミュニティ当事者による取組みであり、市の補助事業も活用した、市政の方向性とも足並みがそろった取組みを低コストで実現している面が評価できる。
また、空き家を活用した配食サービスという事業は、地域への波及効果が実際に目に見える取組みであり、他の物件と比較して地域活性化への貢献度が高い点を評価した。
優秀賞 (O様邸住宅)
築60年超の住宅を4年かけてコツコツ再生
物件Data
設計者・施工者 | 浄化槽設置以外はほぼセルフビルド |
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所在地 | 観音寺市 |
敷地面積 | 405.2㎡ |
1階床面積 | 85.94㎡ |
工事費用 | 約250万円 |
改修後の用途 | 一戸建て住宅 |
特徴
定年退職後、埼玉から瀬戸内海に臨む場所に移住を希望し、愛媛県を中心に探していましたが、観音寺市の『空き家バンク』でこの物件を見つけ、平成26年に購入しました。
物件の状態が比較的よいこと、価格も購入できる範囲にあること、望んでいた伝統的建物(民家)であり、海山が一望できる環境が購入の決め手です。
住みながら時間をかけて少しずつDIYで改修しました。移住して7年になりますが、未だにエアコンを導入しなくても、夏は扇風機、屋根裏排気扇、自然の海風山風で過ごし、冬は薪ストーブをメインに石油ストーブ、豆炭炬燵で暮らすことができるのも、伝統的古民家の良さと立地条件によるものと考えています。
審査員コメント
移住者による空き家活用という点で定住促進の好事例である。
優秀賞 (多喜屋)
江戸末期の古民家を宿泊施設へ
物件Data
設計者・施工者 | 株式会社菅組 |
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所在地 | 三豊市 |
敷地面積 | 133.4㎡ |
1階床面積 | 54.52㎡(改修後) |
2階床面積 | 48.61㎡(改修後) |
工事費用 | 約3,300万円 |
改修後の用途 | 宿泊施設 |
特徴
家の後継者の方が関東に定住するようになり、家主の方もご病気で施設に入所し空き家になって25年。今回土地建物を購入するのではなく、所有権は現在のまま株式会社菅組が借地借家で土地建物を借り上げリノベーションしました。
多くの観光客が日本のウユニ塩湖と呼ばれる父母ヶ浜に訪れる中、このエリアには宿泊施設がほとんどなく、通過地点にとどまっています。一組でも仁尾の町中に宿泊してもらい、早朝の父母ヶ浜を散歩したり、新たな観光の仕方、もう一つの仁尾の楽しみ方を提案したいです。 玄関戸のデザインは、昔仁尾町にあった映画館「松栄座」の入り口ドアを写しとしています。小屋裏空間を寝室にリノベーション。丸太梁の露出で迫力ある空間になっています。
審査員コメント
コンセプトや内容、デザインや創意工夫等についてはすばらしく、最優秀賞と遜色なかったが、費用対効果の面で差があった。
優秀賞 (ゆる里)
築80年超の住宅を民泊へ
物件Data
設計者・施工者 | 所有者が主体となってセルフビルド (水廻り等の一部は地元大工に依頼) |
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所在地 | 小豆郡小豆島町 |
敷地面積 | 328.81㎡ |
1階床面積 | 84.29㎡ |
工事費用 | 約310万円 |
改修後の用途 | 民泊 |
特徴
車の入らない細道が多く、日々の暮らしには不便だが、そこには蟹が歩き振り向けば海がある。そんな瀬戸内の情緒あふれる雰囲気を旅人は喜ぶのではないかと思いました。
伝統的日本家屋の特徴である襖によって間仕切りされた間取りも、すべて取り払えば大広間に早変わりしました。
宿泊施設として、瀬戸内国際芸術祭会期中には、アジア、ヨーロッパ等様々な国の方が畳の上に布団を敷いてジャパニーズスタイルを体験していただきました。
審査員コメント
民泊という用途の好事例。ただ地域への貢献度という点で最優秀賞と差があった。
入賞候補作品(鬼ヶ島倶楽部)
ボロボロの民家を島で唯一のカフェへ
物件Data
設計者・施工者 | 知人・友人とセルフビルド (屋根の下地・厨房は地元大工に依頼) |
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所在地 | 高松市 |
敷地面積 | 33.05㎡ |
1階床面積 | 33.05㎡ |
工事費用 | 約340万円 |
改修後の用途 | カフェ・たまり場 |
特徴
仕事で女木島に通っていたが、島ゆえの不便さがあり残業、早出等の関係で住居を探していました。縁あって今の母屋が手に入りましたが、同じ敷地にこの古民家がついていました。屋根が抜け落ち、壁も崩れた状態で、最初は壊すつもりでしたが、友人たちが修理してみんなのたまり場を作ろうと言い出し、今に至っています。
屋根の下地、厨房(水回り)は大工さんにお願いしましたがあとはすべて素人で修理しました。屋根瓦も友人で葺いたし、外壁、内壁すべて素人で作り上げました。
女木島独自の農業等のワークショップの会場になったり、島の人の憩いの場となったり、旅行客の休憩場所となったりで大いに活用できています。